執筆者 admin | 2018 01 20 | ことば・バイリンガル
お子さんの発達が気になっていて、海外で日本語と現地語を使うのは子どもの負担になるんじゃないかと心配されているお母さんに朗報です!
2018年のカナダのモントリオールの
「発達障害の自閉症スペクトラムの子どもたちにとってバイリンガル教育は有益だ」という結果がでた研究をご紹介します。
自閉症スペクトラムの人たちは、何かをしていたときに他のことに切り替えをするのが苦手ですね。
ところが、2、3つの言葉を話す自閉症スペクトラムの子ども達は、そうでない子どもたちよりもその切り替えが少ししやすいようだという研究結果が出たのです。
カナダのマギル(McGill)大学のAparna Nadig教授がChild Developmentという雑誌に2017年11月に発表した研究でした。
その切り替えの課題の内容をご説明しますね。
6−9歳の自閉症スペクトラムの子どもにやってもらったものです。
まず、バソコンを使って画面上にある絵カードに書かれている「青いうさぎ」や「赤い船」をまずは色別に物を分けます。
そして、その後、カードを形別にうさぎや船に分けるというものです。
その課題をしたときに、フランス語、英語、スペイン語などの2つ、3つの言葉を話す子どもの方が、切り替えが早かったというのです。
発達障害の子どもがバイリンガルやトリリンガルなことが、具体的に有利になることがあると示されたのは初めてだったようで、ニュースになって色々なところに取り上げられていました!
海外で発達が気になったり、自閉症スペクトラムのお子さんを日本語で育てているお母さんたちには嬉しいニュースですね!
注意点としては、この研究のパソコンでやった課題では切り替えが早かったけれど、日常生活場面でも切り替えが早いという結果が出たわけではないんですね。これからさらに研究が進められていくでしょう。
とはいえ、自閉症スペクトラムの子どもがバイリンガル環境で育つと
さらに言葉が遅れることにはならないという研究結果がこれまでにいくつも出ています。
2017年7月の他の論文でも自閉症スペクトラムの子ども達は、バイリンガルに育つことができる。
バイリンガルだから自閉症スペクトラムの子どもの言葉の発達が遅れるということはない。
家庭内でバイリンガルだったのを無理に一つの言葉にすることで、親が自分の言葉で感情や思いを伝えられなくなるなってしまう方が問題だ言われています。
発達が気になるお子さんや自閉症スペクトラムがあると、お子さんの使う言葉を一つにした方がいいのかなと思われるお母さんは多いです。
お子さんが言葉が出るのが遅かったり、コミュニケーションしにくそうにしていると、お母さんたちが心配になるのはもっともなことです!
お子さんのことを思うあまりに自分が努力すれば子どもが楽になるならと自分の気持ちを犠牲にされる方もいらっしゃいます。
もちろんその言葉で自分の気持ちも問題なくお話できるであれば、それでOKだと思います。
しかし、これまでの研究から親の言葉で話し続けて問題ないということがわかってきているのです。
発達障害や発達が気になるお子さんにもバイリンガル子育てをして日本語で話し続けるという選択も知っていてもらえたらと思いました^^
参考文献
⑴Ana Maria Gonzalez-Barrero, Aparna S. Nadig.
Can Bilingualism Mitigate Set-Shifting
Difficulties in Children With Autism
Spectrum Disorders? Child Development,
2017; DOI: 10.1111/cdev.12979
⑵Bilingualism in children with autism spectrum
disorder: Making evidence based recommendations.
http://psycnet.apa.org/record/2017-31810-006
最後まで読んでいただきありがとうございます!
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執筆者 admin | 2018 01 20 | 発達障害グレーゾーン
ADHD傾向があるお子さんは、人の話を聞いていてもすぐにどこかに気がそれていってしまうなんてこともありますね。今回は、ADHD傾向の気がそれやすい子は「どうして集中して話が聞けないの?」というご相談への回答と具体的にどんな対応ができるかお伝えします!
ADHD傾向の気がそれやすい小学校1年生のCちゃん。
学校でもお家でも大人が話していることを聞いていない様子で、外の音に反応して窓の方を見たりしているようです。消しゴムに鉛筆を刺すのはいつものことで消しゴムは穴だらけです。
学校の勉強もよくわからなくなってきたみたいで、家で一緒に勉強しようとしても、もすぐに違うところを見たりして、集中が続かなくてお母さんも困っています。
皆さんはどう思われましたか?
勉強に興味がないのかなと一思えるのですが集中力をコントロールすることが苦手なよう
にもみえます。
話に注意を集中させて、集中を継続できるようになるには、
①ひとつのこと(A)に注意を向け続ける力
②他のこと(B)に注意を切り替える力
③元のこと(A)に注意を向け戻す力
の3つの力が必要です。
話が聞けない子は、このどれかの力が弱いか何個かが弱いのです。
Cちゃんの場合は、お母さんのお話では
・好きなことには没頭して時間になってもやめられない
・マンガを読んでいる途中でレゴで遊びだして、その後カードをだしたりして部屋がぐちゃぐちゃとのことでした。
好きなことに没頭できるので①の力はありそうです。
違う遊びに切り替えることができているようなので②の力もはありそうです。
見えるもの、聞こえるものに反応して、元のことに戻ってこられなくなってしま
っているので、最後の③は難しそうな印象です。
この状態と、集中力のコントロールが難しい「不注意」の状態といいます。
では元に戻ってきてもらうためにできることって何でしょう。
「お〜い、戻っておいで!」と声をかける。で戻っていたら相談していませんよね。
まずは
聞いてほしい話があるときはこどもと目を合わせてから話しましょう!
気がそれてきているなと思ったら後ろから声をかけるのではなくてまた目を合わせて話しましょう。
あまり落ち着かないようでしたら、5−10分で区切りを入れて気分転換にバランス感覚をつかえる遊びを入れるとスッキリするかもしれません。
注意を向け戻す練習としては遊びながら自分の体へ注意を向ける・向け戻す練習がオススメです。
例えば、背中に数字やひらがなを書いて当ててもらう。
子どもが目をつぶっている間に手や足にポストイットを貼って、どこについているか当ててもらう。
子どもが目をつぶっている間に背中などに洋服の上から洗濯バサミをつけて、どこについているか当ててもらう。
足の裏にいろいろな肌触りのするもの(たわし、スポンジ、タオルなど)をこすりつけて、何か当ててもらう。
などなど。
小さいお子さんには、「一本橋こちょこちょ♫」の遊びが自分の皮膚感覚に注意を向ける楽しい遊びですね。
やっている途中で注意がそれてしまっても、自分の体の感覚なので、注意を戻しやすい
んです。
お風呂に入っているときや、ちょっとした時間でぜひ試してみてくださいね。
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山田ちあき
発達科学コミュニケーショントレーナー
臨床心理士
Psychologue
執筆者 admin | 2018 01 18 | 子育て, 発達障害グレーゾーン
発達が気になるお子さんたちには感覚のアンバランスさがあること
をお伝えしてきました。
今回は、発達が気になる子は「どうして落ち着ついて話が聞けないの?」
というよくある相談内容に具体的にどんな対応ができるかお伝えしたいと思います!
幼稚園の頃からよく動いて先生の話があまり
聞けていなかったC君。
大きくなれば落ち着くかと思っていたけれど、
小学校に入っても授業中に落ち着かずに先生の
話を聞けていないようです。
家に帰ってきて宿題をやる時にほとんど分かって
いなくてできません。
お父さんが説明をしても話を聞いていないのか、
机に突っ伏して消しゴムに鉛筆を刺したり、
椅子をグラグラしたりしています。
聞く気がないのかとお父さんに怒られ
ることが多くなってしまいました。
皆さんはこのお子さんの様子を想像して
どう思われましたか?
まず、机に突っ伏したり、椅子をグラグラ
させたりしているのを見て失礼な態度!と
イライラしませんか?
これ、ほんとに失礼な態度を見せてる子も
いますが、C君はには違う可能性ありそうです。
この違う可能性に気づいてあげられると、C君は
怒られ続けないで済みますよね。
それは、なんなのかというと、
バランス感覚(前庭覚)のトラブルです。
バランス感覚が十分に育っていないと、
自分の体のかたむきを感じとれなくて、
姿勢を保つことも難しいと言われています。
そして、椅子をグラグラさせるのも、脳に
バランス感覚の刺激がたりない状態に
なっていると、やってしまう行動です。
他にも高いところに登ったり、大きい声を
だして遊んだり、授業中に立ち歩いたり
する行動も同じようにバランス感覚の情報
が脳でうまく整理できていないと起こります。
いかがでしょうか。発達障害やグレーゾーン
でなくても、このバランス感覚の
トラブルがある子どもは結構いますよね。
そこで!できる対応は、
①公園で体を動かして楽しく遊びながら
バランス感覚を育てる!
→バランス感覚が必要なアスレチックや
ジャングルジム、ブランコ、滑り台、ぐるぐる
回る遊具など学校に行く前に15分ぐらいやる
と学校で結構落ちついていられるように
なります。
学校の後も外遊びに行くようにするとお家でも
落ち着いてきます。
普通の子どもの遊びですけど、意味があるもの
ですね!
②家の中で楽しくバランス感覚を育てる!
→・室内用トランポリンで、一人で飛ぶ高さ
の2倍ぐらい飛べるように大人が手や脇を
おさえて飛ぶ
・回転椅子に反対向きに乗せてぐるぐる回してあげる
・片足立ちで誰が一番長く立っていられるか競争
・頭の上に本を乗せてあるく
③できていることをなんでも褒める!
怒られることが多くなってしまうと、やる気が
でなくなってしまうものです。
少しでもできていること、やろうとしているこ
とがあったら、それを褒めてあげましょう。
それか、「あ、歯磨きしているんだね」
「お皿さげてくれるんだね」など
「あ、◯◯しようとしているんだね。」と
気づいていることを知らせてあげましょう。
自分がやろうとしていることに注目してもらえると
さらにやる気がでるものです。
お母さんに余裕がないときは、言葉で褒めたりでき
ないときもあると思います。
そんなときは、子どもをみてうなずくだけだったり、
手で◯を作って見せたり(お金の意味になる国に住ん
でいる場合は親指を上向きにしたグーの合図)だけ
でもいいので「見ているよ!」の合図をしてあげて
くださいね。
自分の子どもだと他の子どもと比べてついできないこと、
ダメなところが目に入ってしまっていろいろ言いたくなっ
てしまうものですね。
しかし、いくらいろいろなことができるようになっても、
いつも周りと比べていたらず〜と、誰かと比べたら全然ダメ
な状態が続いてしまいます。いつまでたってもOKな
状態にたどりつけなくなってしまいますね。
誰かと比べて何かができていなくても「自分は自分でいいんだ。」
苦手なことがあっても「自分って悪くない」という自己肯定感を
育ててあげたいですね。
この感覚が育てば、少し失敗してもめげないで立ち直れたり、
苦手なことにもチャレンジできるようになります!
私は、「発達科学コミュニケーション」を学んで
この自己肯定感の大切さを再確認しました!
子どもの様子がガラッと変わったのです。
頭ではわかっていても、実際にやれるか
どうかは、違うものですね!
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山田ちあき
発達科学コミュニケーショントレーナー
臨床心理士
Psychologue
参考文献「発達障害の子の感覚遊び・運動遊び」木村順
執筆者 admin | 2018 01 17 | 海外子育て, 発達障害グレーゾーン
昨日お伝えしたように、フランスで発達障害の人たちが働く会社を見つけて
今日電話で社長のLaurent Delannoyさんにインタビューさせてもらいました!
会社は、AVENCODというニースにあるITのベンチャー企業です。
アスペルガー症候群や高機能自閉症と呼ば
れている方々など(今は自閉症スペクトラム
と診断名は変わってきているのですが、
フランスではこちらでまだ呼ばれています)
を雇って、大手企業にITのサービス提供をし
ているそうです!
今日電話では、
⑴ どうしてこの会社を始めたのか?
⑵ 今後の展望
について伺いました。
1つ目の質問をしたら10分ぐらいたくさ
ん話してくれてメモ取るのが大変でした^^
この会社を始めたのは、
社長のLaurent Delannoyさんと
パートナーのLaurence Vanbergueさん
のお二人です。
親戚の中に3人障害をもった方がいて、
仕事をみつけるのがとても難しい、
あっても掃除などの仕事という話を聞い
ていたそうです。
そこで、何かできないかと考えて始められ
ました!
フランスで発達障害自閉症
スペクトラムの人は40万〜50万人のいて、
そのうち就職できているのは3〜5%だけだとか!
日本にもありますが、フランスでも会社は
障害を持った人を雇わないといけない
と法律があります。
La loi diversité et handicap de 2005
といって6%雇わないといけないのですが、
その通りに雇えない会社も多いようです。
6%雇えていない場合は国にお金を払わない
といけないので、そのお金を会社の中で有効
に伝えたらというメッセージを企業に伝えて
いるとのこと。
実際に、アスペルガーや高機能自閉症の方々は
すごい集中力でよく仕事をしてくれるので、
普通の人の3分の1で仕事が終わってしまうこ
とも!
その後、疲れ切ってしまうので枠を作ってあげ
るのが大切だとか。
残業を20時や22時までしてしまうので、
フランスの週35時間労働を守ってもらえる
ように工夫をしているそうです。
月曜日にメールで前の週働き過ぎた時間を知
らせてその週にその分休んでもらうようにし
ているのだとか。
会社の中では、彼らが集中できるように
・電話はならない!
・外部の人もこない!
という環境を確保しています。
こういった対応も自分たちで考え出したので
はなくて、まずニースにある自閉症情報
センターに問い合わせて相談したそうです。
今は2週間に1回心理士にオフィスと顧客
のところに来てもらって環境を見てもらっ
たり、アドバイスをしてもらっています。
今後の展望としては、15人から20人ぐらい
の支店をフランスの他の都市、
ナント、リヨン、ストラスブールや
マルセイユにつくっていきたいとのこと!
自閉症スペクトラムの人々の特性・能力を
理解して、社会に参加・還元できる形をつ
くりあげているのが素晴らしいですよね!
今後もどんどん活躍の場を広げていっても
らいたいと思いました!!
そして、「外部から人が来ない!」という
オフィスに邪魔にならないように見学させ
てもらえる方法はないものか相談させても
らいたいと密かに思っています。
アメリカでもMicrosoftなどがアスペルガーの
方々を雇っているのだとか。ヨーロッパは
始まったばかりで、フランス、スウェーデン
やノルウェーなどで増えてきているようです!
今後世界中で発達障害の方々の働く場がどん
どん増えていって欲しいですね。
そのために今できることを着実にしていきた
いと思いました!
最後に、
実は私、Asperger(アスペルガー)とフラン
ス語で言おうとすると、いつもつい
「アスペルジェ?アスペルジュ?
(野菜のアスパラガス)」と一人
混乱してました!(^^;)
今日冷静になって考えてみたら、
gerがフランス語だと普通は”ジェ”と発音する
ので、そこにつられてアスペルジェと言って
しまっていたと自覚。
この固有名詞はアメリカの発音のままで
「アスペルガー」と言って大丈夫なのだ
とインプットしました!
皆さんもフランス語でアスペルガーという時に
は、フランス語発音にしないで
さりげなく「アスペルガー」と言ってくださいね!
フランスではアスペルガーを知らない人も多いの
で、Autisteと言ったほうが通じるとは思いますが。
発達障害の子どもが将来働ける大人になる
ために今できることを知りたい
という方には個別相談でお伝えします!
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執筆者 admin | 2018 01 16 | 海外子育て, 発達障害グレーゾーン
今回は、偶然にもフランスで発達障害の人の職場をみつけたので報告します!
こんなことしている会社がフランスにもちゃんとあったのね〜!
と感動したので朝からすぐにでもお伝えしたいと思っていました!
その会社は、偶然にも私が住んでいる県内、
ニースにあるITのベンチャー企業です!
発達障害のアスペルガー症候群や高機能自閉症と呼ばれ
ている方々(今は自閉症スペクトラムと診断名は変わっ
てきているのですが、フランスではまだこのように呼ばれています)
を雇って、大手企業にITのサービス提供をしているそうです!
社長が話していたインタビューによると、
「彼らにはすごい集中力と一つのことに対する
興味欲・学習欲がある。普通の人たちには太刀
打ちできないような集中力とスキルがあるので
社会は彼らの能力・スキルが必要だ」とのこと
でした。
いや〜嬉しい話ですよね。
自閉症スペクトラム圏の人たちの良さをわかって、
それを社会に還元できるようにして
くれる会社がフランスにあるとは、
とても感動しました!
できて2年弱ぐらいの会社なようですが、これか
らどんどん活躍の場を広げていってもらい
たいですね。
2017年7月にフランスのラジオ番組でも取り上
げられたようです。
社長が話していたこぼれ話で、
会社内にフランスのどこの会社にも置いてあるコーヒー
メーカーを置いてあるそうなんです。
でも社員のだれも誰も使わないからどうしてなんだろう?
と不思議に思って聞いてみたら
返ってきた返事は、
「会社には仕事に来ていて、
コーヒーを飲みに来ていない。」
だったとか(笑)
他にもフランスには
週35時間労働の法律があるけれど、
社員の皆さんすごい集中力で粘り強く残業してくれるそうです。
なので、月曜日に「先週あなたは働きすぎました」
とメールで知らせないといけないとか(笑)。
なるほど、フランスだと働きすぎるのも
いけないですからね〜(笑)
日本の会社とはまた違うポイントでこぼれ話
がでてくるところがとても興味深いです!!
実は明日この会社の社長と電話でお話しさ
せてもらえることになったので、今から
ワクワクしています。
聞いてほしい質問とかあったらぜひメッセージ
くださいね。
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