海外では18歳を超えると成人になりますね。ちょうどその頃の子ども達特有の課題があります。それは、アイデンティティーを作ることです!

国際結婚家庭だと二つ以上の国とか、文化があるので、アイデンティティーを作るのが大変という話も聞いたことがあると思います。不安に感じられることもあると思いますが、どんな風にアイデンティティーが作られているか事前に分かっていれば、安心して、子どものアイデンティティ作りをサポートできますね。

前回は、ステップ3:国際結婚家庭で、学校に通う6歳〜12歳の子どもがいる時期
ステップ4:12歳〜18歳の思春期の子どもがいる時期についてお伝えしました。
 
今回は、下の国際結婚カップルのライフサイクル:6つのステップ

ステップ1:子どもがいない時期(共同生活の始まり)
ステップ2:乳幼児の子どもがいる時期
ステップ3:学校に通う6歳〜12歳の子どもがいる時期
ステップ4:12歳〜18歳の思春期の子どもがいる時期
ステップ5:18歳を以上の子どもと同居する時期
ステップ6:子どもが巣立っていった後、リタイア後

のうちステップ5:国際結婚家庭で18歳を以上の子どもと同居している時期にしておいて欲しいことついてお伝えしたいと思います。
 

若者と親世代のジェネレーション・ギャップは国際結婚家庭でなくても普通ありますが、国際結婚ファミリーでは、さらに国籍・アイデンティティの葛藤が生まれやすくなります。

18歳になる前から少しずつ出てくることではありますが、この時期に子どもは、「自分は何人なのだろう、何者なのだろう」という疑問が湧いてくる時期になります。
 
そして、親の価値観から切り離れて自分の価値観を作り上げ自分は何者かのかというアイデンティティを作り上げることになります。

発達障害があるお子さんは「自分は発達障害」ということもアイデンティティの一部となります。
 
アイデンティティが出来上がらないといつまでたっても自分のことがわからないままで、精神的にも不安定ですし、何をしたいのかの職業選択も難しくなってしまいます。

  
では、どうやって子どもたちは、アイデンティティをつくっていくのでしょうか。
 
国際結婚ファミリーの子どもは、どちらかの親の文化や国にたいして完全に同一化する
ことはないと言われています。親がその文化でもあるので、両方の文化の中で育っていれば当然といえば当然ですね。

その時の年齢、環境、肌の色、父親・母親との関係などいろいろな要因から、父親・母親の国・文化にどれぐらい自分がぞくしているのかという感じ方が変わります。
 
 子どもは、
・生活している社会で弱い立場の方の親を守ってあげたい
・周りのみんなと違うのがいい
・知らない世界をみてみたい
・住んでいる国のルールを守りたい
 などなど様々な思いを持つようになります。
その中でも、思春期の子どもは、特に外から見て明らかな「客観的な」特徴(肌の色など)が同じグループと絆が作られやすいと言われています。同じ人種の若者が集まりやすいということなのでしょう。
 
同時に、自分の興味や関心など「主観的な」ものが同じということでもグループに属しているという感覚は持つことができると言われています。スポーツクラブや趣味のグループと仲良くなれるということですね。
 
このようにその時々によって思春期の若者はいろいろなグループに属することになります。様々なグループに所属している気持ちをもちながら自分自身の価値観を作り上げて「自分は何者か」というアイデンティティを少しづつ築き上げていくことになります。
 
家庭の中の親との関係外のグループとの関係両方があってアイデンティティを作ることができるのです。
 
 
そして、このステップでは、子どもの進路・職業選択も大きな課題です。
 
ステップ3・4でもお伝えしたように国・文化によっては学校の勉強はそれほど重要に考えなくて、18歳で(あるいはそれより前でも)で仕事をするのが当たり前のこともあります。欧米では、18歳を過ぎれば成人です。
進路を選ぶときに本人がやりたいことを受け入れるのか?それとも親が選んだものを受け入れさせるのか?
 
金銭的なサポートをするのか誰がするのかいつまで同居をするのかなどなど様々なことをまだ夫婦で話し合う必要があります!

子どもは、心が揺れ動く時期なのでそれぞれの親に対して辛く当たることもあるかも知れません。自分が外国人だから余計不安定にさせてしまっているのではないかと心配になることもあるかもしれません。辛く当たれるのは、親を信頼できているからです。

様々な文化を持っていることは素晴らしいことですし、国際人としてこれからの国際社会では重要な存在になります!

二つの文化を子どもが自分の中で統合して一人の大人として成長していく大切な時期
ぜひ夫婦で意見を一致させて二人で対応していきたいですね。

次回は、最後のステップ6でしておいて欲しいことについてお伝えします!

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最後まで読んでいただきありがとうございます!

山田ちあき

臨床心理士
Psychologue

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