発達障害グレーゾーンのお子さんはどこに国でも暮らしていますが、国によってその診断状況は変わってきます。それぞれの社会で個性の範囲が変わってくることもありますが、診断基準が違うこともあります。今回は、フランスでの発達障害の診断の状況についてお伝えします。

フランスでの自閉症スペクトラム症

フランスでもはっきりとした自閉症は診断されます。しかし、はっきりしていない自閉症スペクトラム症はまだあまり知られていなくて診断がされにくい状況です。

とはいえ、フランスでは全く診断がされないのかというとそういう訳ではなくて、パリには発達障害の専門診察をしているこども病院があるので、そういった専門機関では診断されています。

フランスでは発達障害の診断がどうして少ないの?

どうして一般的なフランスの精神科医は発達障害の診断をあまりしないのでしょうか。この理由を知っておくと、ご自身のお子さんのことで一般的なフランスの精神科医に言われることと日本の精神科医に言われることが違っても、あわてなくてすみますね。どっちが正しいのかと迷うことなく、ご自身のお子さんを見ることができるようになると思うので、大切なポイントだと考えています。

1つ目の理由:診断基準が違います!

フランスの精神科で診察をするときに主に使われるのは、日本でもよく知られているアメリカのDSM-V(アメリカ精神医学会 (APA) が作った『精神障害の診断と統計マニュアル』第5版) ではありません。

フランスにはCFTMEA(Classification française des troubles mentaux de l’enfant et del’adolescent)という診断基準があります。

それを使う場合はICD-10(世界保健機関 (WHO) が公表している「国際疾病分類」(International Classification of Diseases)フランス語:CIM-10 )も必ず記載するようにお国からは言われているようです。

国が指示しないといけないということは、昔ながらのCFTMEAが大前提にあるのだろうと私は考えています。

CFTMEAでは、自閉症カナー型が上の方にあって、広汎性発達障害も下の方に入っていますが、注意欠陥多動性障害(ADHD)の診断基準は入っていないようです。

このように診断基準が違うので、アメリカの診断基準で「自閉症スペクトラム症」と診断をされて、それをフランスの精神科医に伝えても、「自閉症?」「カナーってこと?」ととられてしまうかもしれません。

ICD-10の広汎性発達障害(仏語:Trouble envahissant du développement:TED)はもしかしたら知っているかもしれませんが、TEDのアソシエーションもフランスではあまり知られていないと言っているので、医者によるのだろうと思います。

2つ目の理由:精神・心理療法の流れ

私が驚いているのが2016年12月に自閉症への精神分析的なアプローチを禁止する法律をつくろうと議員たちが提案したようなのです。そこで精神分析の関係者から猛反対をうけ、その法案が流れたということです。

法律で禁止を必要があると考える人たちがいるということは、いまだに自閉症への精神分析的なアプローチがフランスではされているということになりますよね。

精神分析的なアプローチは、親子関係、特にお母さんと子どもの関係を重視するので「子どもが自分の殻にこもってしまったのはお母さんに原因がある」という考え方になりがちなのです。

日本でも50年ぐらい前にあった見方ですが、今では脳機能の障害ということがわかっているのでそのようなことは言われないですよね。

しかし、フランスではこのような強い精神分析的流れがある状況なので、子どもの変わった行動や不適応はまずは、母子関係や家族関係、社会的な環境(移民家庭、貧困、片親、離婚家庭、再構成家庭など)が原因と考えられやすいのです。

なので、わかりやすい自閉症は診断を受けられていますが、その他の発達障害の診断はあまりされずにいるのだろうと私は考えています。

どうしたらいいのか

フランスでは発達の凹凸がみられると、個性の範囲と見られるか、家族の問題と取られることもあります。周りからなんと言われようと、発達の特性のお母さんの育て方の問題ではないので気に病まないでいただきたいです。

お母さんがお子さんの特性(個性)をしっかりと理解してあげて、その特性にあった対応をしてあげることが子さんの未来のために大事になります。

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最後まで読んでいただきありがとうございます!

山田ちあき
発達科学コミュニケーショントレーナー

臨床心理士
Psychologue

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