フランス・ケベック共同のMSC講師養成に参加して感じたこと
医療や対人支援の現場で働く方とお話ししていると、
こんな言葉を聞くことがあります。
「休んでいるのに、休まらない」
「頭ではわかっているのに、切り替えられない」
「もっと頑張らなきゃと思ってしまう」
「人には優しくできるのに、自分には厳しい」
子育て支援でも、医療でも、教育でも。
“人を支える人”ほど、
自分を後回しにしながら、
限界ギリギリまで頑張っていることがあります。
私は今回、
フランスとケベックのチームによる
「医療・ケア職向けMSC(Mindful Self-Compassion)」の
講師養成プログラムに参加しました。
MSCは、
「自分にやさしくする」ための
単なるリラクゼーションではありません。
苦しさや失敗、限界を感じたときに、
“自分を責める”のではなく、
自分とどう関わるかを学ぶ実践です。
今回特に印象的だったのは、
“説明すること”よりも、
「体験すること」や「分かち合うこと」が
とても大切にされていたことでした。
つい私たちは、
理解しよう、説明しよう、
正しく伝えようとしてしまいます。
けれど実際には、
人は「わかった」だけでは変わらない。
安心できる場で、
少し立ち止まり、
自分の体験に触れ、
誰かと共有する。
そのプロセスの中で、
少しずつ何かがほどけていく。
そんなことを改めて感じました。
また、医療職の方々を対象に行うときには、
特有の難しさや繊細さがあることも学びました。
責任の重さ。
「間違えてはいけない」という緊張。
感情よりも先に“対応すること”が求められる環境。
そして、
「自分のことは後回し」が当たり前になっている文化。
だからこそ、
セルフ・コンパッションは
「甘やかし」ではなく、
“燃え尽きずにケアを続けるための土台”として
必要なのだと感じています。
今回の学びを通して、
私自身も、
これからの8週間プログラムでは、
説明を増やすより、
体験や対話、分かち合いに
もっと勇気を持ってスペースを作っていきたいと感じています。
理解することも大切。
でも、
安心して感じられること。
「ひとりじゃない」と思えること。
それが、
人が回復していく上で、
とても大切なのだと思います。
ケアする人が、
自分自身を置き去りにしないこと。
そのための学びを、
これからも深めていきたいと思います。
臨床心理士・公認心理師
山田ちあき
